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「楽しかった」を、一つ持ち帰れる1時間に。
身体を動かし、気持ちも話せる。石橋桜トレーナーが大切にする時間

石橋 桜
eviGymトレーナー| 石橋 桜

ジムに通ってみたいけれど、運動についていけるか不安。トレーナーと何を話せばいいのか、少し緊張する。初めてのパーソナルトレーニングには、そんな気持ちもあるかもしれません。

「1時間の中で、何か一つ楽しかったことがある状態で帰っていただきたい」と話すのは、石橋桜トレーナー。中学から大学まで陸上競技に打ち込んできた一方で、幼い頃は走るのが嫌で泣いたことも、縄跳びができずに諦めたこともあるそうです。

人に支えられて競技を続けてきた日々。お客様の言葉に背中を押された新人時代。そして、会話を楽しむだけでは十分ではないと気づいた経験。石橋トレーナーが、運動と人との関わりをどのように大切にしているのかを伺いました。

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走るのが嫌だった幼少期から、大学まで続けた陸上競技へ

――中学から大学まで陸上競技を続けていたそうですが、小さい頃から運動が得意だったのでしょうか?

石橋:いえ、本当に小さい頃は足が遅くて、走るのが嫌で泣いていたんです。保育園で縄跳びをしたときも、周りの子は二重跳びができるのに自分だけできなくて、泣いて途中で諦めたことがありました。結局、二重跳びはできないままでしたね。
小学生の頃は友達がきっかけで水泳を習っていて、中学生からは兄の影響で陸上競技を始めました。専門は中長距離で、800m、1500m、3000m、大学生になってからは5000mも走っていました。
ただ、球技は全般的に苦手です。特にサッカーやバスケットボールですね。走ることに、ボールを扱う動きが加わると難しくて。二つのことを同時にするのが苦手なんです。

――今の明るい印象からは意外ですが、子どもの頃は人見知りでもあったそうですね。

石橋:ものすごく人見知りでした。親の知り合いに会っただけで泣いてしまうくらいで、人前では話せなかったんです。今の私からは、想像がつかないかもしれません。
小学生になって友達ができてから、だんだん明るくなったのだと思います。それからは、周りに友達がたくさんいるような子どもでした。周囲から言われるのも、「元気」「明るい」が多かったですね。

――長い距離を走るのは、つらくありませんでしたか? それでも大学まで続けられた理由を教えてください。

石橋:めちゃくちゃつらかったです。でも、中学でも高校でも、家族のように関わって道を教えてくれる先生に出会えたんです。いろいろな人に支えられたから、続けることができました。
特に大きかったのは、高校時代の監督の存在です。高校の3年間は、地元から車で5時間くらい離れた場所にある駅伝部の女子寮で生活していました。親元を離れていたので、監督は親のような存在でしたね。
私には厳しかったですけど、自分の子どものように関わってくれました。それでいて、ただ子どもとして扱うのではなく、一人の人として向き合ってくれる先生だったんです。

自分の頑張りを、一緒に喜んでくれる人がいる

――「スポーツを続けていてよかった」と感じたのは、どんなときでしたか?

石橋:高校3年生のとき、大会でタイトルを取ったり、記録を出したりしたときです。先生だけではなく、先輩や後輩、家族、先輩や後輩の親御さんなど、いろいろな方が喜んでくれました。
その姿を見たときに、「競技を続けていてよかったな」「スポーツをやっていてよかったな」と感じましたね。
身体の面では、規則正しい生活をしながら運動していると、自分自身はすごく元気で、体調がよかったという実感があります。朝起きて眠たいと思うことも少なくて、身体がすっきりする感覚がありました。それは、自分で体感して分かることなのだと思います。

――そうした「すっきりする感覚」は、今のセッションでも大切にしているのでしょうか?

石橋:はい。私は、身体を動かしながら、プライベートのことや自分が思っていることを言葉にして話していただくのを、すごく意識しています。
思っていることを話すと、すっきりすることもありますよね。運動しながらそういう時間を過ごすことで、ジムでの1時間が、日常の中で必要な時間になっていくのかなと思っています。
歯磨きのように、生活の中に自然とあるもの。そんなふうに運動の時間が日常に入っていくといいなと思います。

スポーツを通して、人と関わる仕事がしたい

――トレーナーを目指したきっかけを教えてください。

石橋:大学2年生のとき、就職活動をきっかけに、どんな道に進もうかと考えたことです。自分はそれまで、運動やスポーツを通して人生を歩んできたので、それを通して人と関わったり、仕事ができたりしたらいいなと思いました。そこから、トレーナーという仕事にたどり着きました。
体育関係の大学に通っていて、周りには教員を目指す人が多かったです。私自身も小学校の教員免許を持っています。でも、トレーナーになると伝えたときは、親も先生も「向いているんじゃない」と言ってくれました。反対されることはなかったですね。
eviGymに入ってからは、当時在籍していた竹内トレーナーに憧れていました。

――実際に働き始めて、想像との違いはありましたか?

石橋:思っていた以上に忙しかったです。トレーナーには、健康的な生活を送っている、キラキラしたイメージがあったんですよね。
実際には予約の調整や時間の管理もありますし、人のために使う時間が多い仕事です。自分に使う時間も、きちんと確保しないといけないのだと感じました。
最初の1年目は、不安も緊張もすごくありました。うまくできるか分からない気持ちもありましたが、そこから自信につながったのは、お客様からいただいた言葉でした。

「楽しかった」の積み重ねが、新しい挑戦につながった

――自信を持つきっかけになった、お客様とのエピソードを聞かせてください。

石橋:私が新卒のときに入会されて、それから継続して担当している女性のお客様がいらっしゃいます。健康維持や運動習慣をつけることを目的に、基本的には週2回くらい通ってくださっている方です。
その方も陸上競技をされていて、大学で学んでいたことなど、私との共通点がたくさんありました。
私が普段から一番大切にしているのは、楽しく通っていただくこと、運動を楽しく続けていただくことです。だから、1時間の中で何か一つ楽しかったことがある状態で帰っていただくように意識していました。
そうして担当を続ける中で、その方から、元気になったことや、話すことで気持ちが明るくなったことを伝えていただいたんです。言葉にしていただいて、初めて気づいた部分もありました。自分が意識していたことと、お客様が求めていたことが一致していたのだと感じましたね。

――そのお客様は、新しいことにも挑戦されたそうですね。

石橋:はい。60歳を迎える年齢の方なのですが、今年、ヨガの資格を取られたんです。eviGymでのトレーニングが、新しいことに一つ挑戦するきっかけになったそうで。ご自身で教室も開く予定だと聞いています。
週に1回や2回、一緒に過ごす時間の中で、お客様が何かを達成したり、新しいことに挑戦したりする。その人生の一つのページに関われていることが、すごくうれしいです。
新卒の頃から担当しているので、思い出もたくさんあります。その方が元気になったり、明るくなったりすることに自分が関われていると分かって、トレーナーとしての自信がつきました。お客様のおかげで、自信を持てるようになったのだと思います。

言葉の奥にある希望を知るために、先輩から学んだこと

――お客様の思いを理解するうえで、難しさを感じた経験もありますか?

石橋:初回体験のお客様へのヒアリングが、難しいと感じていた時期がありました。お話は伺っているのですが、その方が本当は何を求めているのか、うまくつかめなかったんです。
そのとき、当時在籍していた中村トレーナーに相談しました。「お客様はこうおっしゃっているけれど、本当は何を求めているのかが分かりづらい」と伝えたんです。
すると、中村トレーナーが担当するセッションを見学して、そのお客様が求めていることを10個挙げてみる、という練習をすることになりました。
お客様が何を考えているのか、何を求めているのかを、自分でも考える練習でしたね。

――その練習を経て、お客様との関わり方はどう変わりましたか?

石橋:最初の悩みは初回体験でのヒアリングだったのですが、継続して通ってくださっているお客様についても、「この方は何を求めているのだろう」と考えるようになりました。
以前より感謝の言葉をいただく機会も増えましたし、お客様が考えていることと自分の考えていることが一致することで、会話の話題も増えました。
そもそも、パーソナルトレーニングに来る理由や、求めているものをトレーナーが理解していないと、その方に合ったセッションはできないと思っています。お客様が望んでいることや、その方の幸せに近づくためにも、まずは理解することが大切なんです。

会話も運動も大切に。その方が求める1時間を届けたい

――お客様との距離が近くなる中で、気づいたことはありますか?

石橋:新卒の頃、仲良くなりすぎてしまったお客様がいらっしゃいました。その方との時間を振り返って、運動よりも話が中心になってしまうと、1時間の料金に見合う価値を提供できていないのではないかと思ったんです。
お客様は、運動をするためにジムに来てくださっています。その大前提を忘れないことが大切だと感じました。

――その経験から、今はどんなことを意識していますか?

石橋:お話をしたいお客様は、たくさんいらっしゃいます。だから、お話を聞いたり、こちらから話したりしながらも、身体を動かすことを意識しています。話すことだけに時間を使ってしまわないように、身体を動かしながら会話をするようにしていますね。
楽しく通っていただくことと、運動を続けていただくこと。その両方を大切にしたいです。1時間の中に楽しかったことが一つあって、そうした時間が日常の中で必要なものになっていく。そんな時間にしていきたいと思っています。