「自分のベンチプレスの記録は、一般男性の平均と比べて低いのだろうか?」「60kgの壁がどうしても越えられない…」
ベンチプレスはトレーニングの王様ですが、自己流のフォームで損をしている人が後を絶ちません。こんにちは、パーソナルトレーナーのイバラキです。本記事では、トレーナー歴10年以上の私が、最新のスポーツ科学のエビデンスと、数多くのお客様を指導して導き出した「現場の知見」をもとに、ベンチプレスの「正解」を徹底解説します。
- 体重別の平均重量はどれくらいか?(早見表あり)
- なぜ「体を空気でパンパンにする」だけで重量が伸びるのか?
- 肩を痛める「胸の張りすぎ」とは?
この記事では、ネットでよく見る表面的なコツではなく、解剖学に基づいた「怪我なく最短で重量を伸ばすためのロードマップ」を公開します。今日からあなたのベンチプレスが変わります。ぜひ最後までお読みください。
2.ベンチプレスの平均重量は?【体重別早見表】
「自分のベンチプレスの記録は、一般的に見てすごいのか?」 これからトレーニングを本格化させる上で、基準を知ることは非常に重要です。
世界中の数百万件のトレーニングデータを集計した「Strength Level」の統計基準を元に、体重別の目標重量をまとめました。まずは自分の体重の行をチェックしてみましょう。
【男性:ベンチプレス重量の目安(1回挙上できる重さ)】
| 体重 | 未経験〜3ヶ月 | 半年〜2年 | 3年以上 |
|---|---|---|---|
| 60kg | 35kg | 60kg | 70kg |
| 65kg | 40kg | 65kg | 80kg |
| 70kg | 45kg | 70kg | 90kg |
| 75kg | 50kg | 75kg | 100kg |
| 80kg | 55kg | 80kg | 110kg |
※数値はStrength Levelのデータを参考に、日本人男性の平均的な骨格等を考慮して調整した目安です。
まず目指すべきは「体重 × 1.0倍」
表を見ると分かる通り、トレーニングを積んだ「中級者」の入り口となるのが、自分の体重と同じ重さ(体重比1.0倍)です。
- 体重60kgの人なら → 60kg
- 体重70kgの人なら → 70kg
このラインをクリアできれば、ジムに通う一般男性の中でも「しっかりトレーニングしている層」に入ります。まずはここを第一目標に設定しましょう。
【トレーナーからのアドバイス】
平均より低くても焦る必要は全くありません。ベンチプレスは「腕の長さ」や「胸郭の厚み」といった骨格の影響を強く受けます。 無理に重量を追ってフォームが崩れると、肩や手首の怪我に直結します。私が11年間の指導で見てきた中で、最も伸びるのは「正しいフォームで怪我なく継続できた人」です。
3.【エビジムの実績データ】週1回のパーソナルで、ベンチプレスはどれくらい伸びる?

「パーソナルに通えば、本当にベンチプレスの重量は伸びるの?」 ネット上の「数ヶ月で100kg達成!」といった極端な例ではなく、eviGym(エビジム)のカルテにある、リアルなお客様の生データを年代別に3つ公開します。
当ジムに「週1回・50分」のペースで通われている一般男性のお客様が、実際にどのようなペースで成長しているのかをご覧ください。
【ケース①:20代男性(初心者スタート)】
- 初回:30kg × 8回
- 3ヶ月後:40kg × 10回
- 半年後:50kg × 10回
初回はバーに少し重りをつけた状態からスタート。正しいフォームを身につけたことで、半年で+20kgのアップに成功し、大胸筋の厚みが見違えるように変化しました。
【ケース②:40代男性(体力に自信がない状態から)】
- 初回:30kg × 8回 (※1セットで限界)
- 1ヶ月後:35kg × 10回 (※3セットこなせるように!)
- 3ヶ月後:40kg × 10回
最初はスタミナがなく1セットで限界でしたが、わずか1ヶ月で「神経系」が発達し、3セットこなせる基礎体力がつきました。重量だけでなく、セット数(持久力)の伸びが素晴らしい例です。
【ケース③:50代男性(自己流からプロの指導へ)】
- 初回:42kg × 10回
- 3ヶ月後:50kg × 10回
- 半年後:55kg × 10回
年齢を重ねてからのトレーニングでも、軌道のズレを修正し、肩に負担のかからないフォームを徹底したことで、半年で怪我なく着実にMAX重量を更新し続けています。
【トレーナー・イバラキの視点】遠回りしないことが最短の近道
これらのお客様に共通しているのは、「週1回50分」という限られた時間の中で、無理な重量設定をせず「正しいフォーム」を毎回プロと一緒に徹底したことです。
自己流で肩を痛めて数ヶ月トレーニングを休んでしまうより、プロの目でフォームを管理し、着実にステップアップしていくことこそが、最も確実な近道になります。
4. 【フォーム】科学的に大胸筋を最大化する「3つの鉄則」
ここからはエビデンス(科学的根拠)と私の指導経験に基づいた、明日から使えるテクニックを解説します。
① 手幅(グリップ):科学的に「最も重い重量」が挙がる幅
重量を伸ばしたいなら、グリップは「広め(ワイド)」が有利です。科学的な理由は以下の2つです。
- 移動距離が減る:バーを動かす距離(可動域)が短くなり、物理的に楽に挙がります。
- 大胸筋がフル稼働する:腕の力よりも大きな筋肉である「胸の力」を最大限に使えるようになります。
バーを胸に下ろした一番下の位置で、「前腕が地面に対して垂直(または少しだけ外に開く)」状態になっているか確認してください。
もし、下ろした時に前腕が内側に倒れて「ハの字」になっていたら、手幅が狭すぎます(ナロー寄り)。まずは、いつもより「指1〜2本分」外側を持って、力が入りやすいか試してみましょう。
※注意点:広げすぎ(肩幅の2倍近くなど)は肩への負担が激増するため危険です。あくまで「前腕が垂直」になるラインを守ってください。
② 安定性:「体を空気でパンパンにする」呼吸の魔法
初心者の方で最も損をしているのが、「胴体の不安定さ」です。土台がグラグラしていると、バーの軌道が定まらず、力も伝わりません。
私はいつも「呼吸で体を空気でパンパンにするイメージ」と伝えています。
- ラックアップの前に大きく息を吸い込む。
- お腹だけでなく、背中や脇腹まで空気を入れるイメージで膨らませる。
- そのまま腹圧をかけて固める。
これだけで体幹が安定し、バーのブレが劇的に減ります。「腹筋を固める」だけでなく「内圧を高める」ことが重要です。
この「息を止めてお腹を固める」動作(バルサルバ法)は血圧を急激に上昇させます。高血圧の疾患をお持ちの方や、心血管系に不安のある方は息を完全に止めず、バーを押し上げる際に「少しずつ息を吐きながら」行うようにしてください。
③ 出力:「バーを上げる」のではなく「身体をベンチに押し込む」
重量が伸び悩む人は「バーを天井に押し上げよう」としがちです。すると肩が前に出て(ベンチから離れて)しまい、力が逃げてしまいます。
正解は、後頭部と肩甲骨をベンチ台に沈める(押し付ける)ように押す」ことです。
作用・反作用の法則で、背中をベンチに強く押し付ければ押し付けるほど、その反発力でバーは高く上がります。今日から意識を変えてみてください。

5.【実践編】週1回で確実に結果を出す!ベンチプレス強化プログラム
「正しいフォームはわかったけれど、具体的にどんなメニューを組めばいいの?」
ここからは、エビジムのお客様が実際に結果を出している、具体的なトレーニング内容を公開します。
「週1回」でも十分に筋肉は育ちます
「筋トレは週2〜3回やらないと意味がない」と思っていませんか?
実は、数々のスポーツ科学の研究(Grgicら, 2018など)により、「週1回でも、質が高ければ十分な筋力アップが可能」であることが証明されています。
大切なのは回数ではなく、「1日でしっかり胸を疲れさせ、残り6日間で筋肉を回復(超回復)させること」です。
実践!週1回ベンチプレスメニュー
以下の設定で、週に1回だけ胸の日を作ってみてください。
ポイント
ベンチプレス解説
| 項目 | おすすめの設定 | ポイント |
|---|---|---|
| 頻度 | 週1回 | 中6日はしっかり休養して超回復させる |
| セット数 | 4〜5セット | 余力があればダンベルプレスを追加 |
| 重量 | ギリギリ8回できる重さ | 軽すぎず、重すぎない絶妙なライン |
| 休憩 | 3〜5分 | 焦らず、呼吸と神経をしっかり整える |
【ゲーム感覚で伸びる!】目標総回数法
毎回「〇〇kg上がったか」だけを見ていると、調子が悪い日に落ち込んでしまいます。そこでおすすめなのが、4セットの合計回数」で過去の自分を超えていく方法です。
【成長のステップ:目標総回数法】
セットごとに回数が落ちることを前提に、「4セットの合計回数」で過去の自分を超えていきましょう。
| 期間 | 1セット目 | 2セット目 | 3セット目 | 4セット目 | 合計 | 次のステップ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1週目 | 8回 | 7回 | 6回 | 5回 | 26回 | 来週は合計27回を目指す |
| 2週目 | 8回 | 8回 | 7回 | 6回 | 29回 | 目標(28回)クリア!👏 |
| 3週目 | 重量を2.5kgアップ! | 新しい重さで、再び合計28回を目指す | ||||
このように、セットごとの回数低下は気にせず、「先週よりトータルで1回でも多く挙げられたか?」を指標にゲーム感覚で進めてみてください。
セット後半で「回数が落ちる」のは大正解!
トレーニング中、「1セット目は8回できたのに、3セット目は5回しか挙がらない…」と落ち込んだ経験はありませんか?
実はこれ、筋肉のエネルギーがしっかり使われている証拠であり、筋肉に十分な刺激を与えられているポジティブなサインなのです(Willardson & Burkett, 2006)。無理に回数を維持しようと毎回限界(オールアウト)まで追い込むと、逆に神経が疲労してしまい、トレーニング全体の質が下がってしまいます(Helms et al., 2016)。
「あと1回ギリギリできそう」という余力を少しだけ残してセットを終えるのが、賢く長続きさせる秘訣です。
6. 【停滞期】60kgの壁を越える!トレーナーが教える「伸びる人」の共通点
「最近、重量が伸び止まった…」 そんな中級者の方へ、私が現場で実際にアドバイスしている突破法を3つ紹介します。
【食事】トレーニング2〜3時間前の「炭水化物」が勝負を決める

フォームやメニュー以前の問題として、「エネルギー不足」で失敗しているケースが非常に多いです。
伸びる人に共通しているのは、トレーニングの2〜3時間前に、エネルギー源となる「炭水化物」と筋肉の材料「タンパク質」をしっかり摂取していることです。
ガス欠の車がスピードを出せないのと同じで、体内にグリコーゲン(エネルギー)が満ちていない状態で100%の力を出すことは不可能です。「仕事帰りに空腹のままジムへ直行」は避け、おにぎりやプロテインなどで栄養をチャージしてから挑んでください。これだけで扱える重量が変わります。
【メニュー】筋肥大(8-12回)と筋力アップ(3-5回)を使い分ける
いつも「10回×3セット」ばかりやっていませんか?筋肉は同じ刺激に慣れてしまいます。 Schoenfeldらの研究でも示されている通り、目的に応じて回数を変える(ピリオダイゼーション)ことが重要です。
- 停滞したら: 神経系を強化する「高重量・低回数(3〜5回)」のセットへ一時的に切り替える。
- ストリクトセット法: 正確なフォームで限界まで追い込むセットを組む。
【補助種目】ミリタリープレスで「プレスの基礎筋力」を底上げする
ベンチプレスが弱い原因の多くは、実は「肩(三角筋前部)の弱さ」や「プレスの基礎筋力不足」にあります。
立った状態で頭上にバーベルを挙げる「ミリタリープレス」を取り入れましょう。体幹と肩の出力が強化され、結果的にベンチプレスの土台が底上げされます。
7. 【安全管理】「肩が痛い」脇の広げ過ぎ?解剖学的な正解
最後に、最も重要な「怪我の予防」についてです。
「ベンチプレスで肩が痛い」という相談をよく受けますが、その原因の多くはフォームのズレによる負荷の逃げです。特に注意したいのが、「脇の開きすぎ」と「肩甲骨の固定不足」です。
肩を痛める原因:過度な外転と水平外転 バーを下ろす際、脇を90度近く開いて(肩関節の外転)動作を行うと、肩関節の前部(腱板や被膜)に過剰なストレスがかかり、インピンジメント(衝突)の原因となります。
正解のフォーム:適切なアーチで肩を守る 無理のない範囲で胸を張り(胸椎の伸展)、肩甲骨を寄せて下げる(内転・下制)ことで、安全なアーチを作ります。
これにより、肩関節の負担が減り、大胸筋に正しく負荷が乗ります。脇の角度は、身体から45度〜60度程度を目安に開くのが解剖学的に最も安全で力が伝わる軌道です。ほんの数センチの軌道のズレが痛みの原因になります。違和感がある時は重量を落とし、正しい軌道を再確認してください。
8. まとめ
正しいフォーム習得こそが最短の近道
今回は、ベンチプレスの平均重量から、科学的なフォーム、停滞期の抜け出し方までを解説しました。
- まずは「体重×1.0倍」を目指す
- 呼吸で身体をパンパンにし、背中でベンチを押す
- 2〜3時間前の炭水化物摂取を徹底する
- 無理な胸の張りすぎに注意し、肩を守る
これらを意識すれば、あなたのベンチプレスは必ず伸びます。
しかし、自分のフォームを客観的に見ることは難しいものです。「本当にこのフォームで合っているのか?」「どこを直せばいいのか?」と不安な方は、ぜひ一度eviGymへお越しください。
経験豊富なトレーナーが、あなたの骨格に合わせた「一生モノのフォーム」を指導します。
\まずはプロに相談・体験してみませんか?/
■ 参考文献(Scientific References)
- Larsen, S., et al. (2021). A Biomechanical Analysis of Wide, Medium, and Narrow Grip Width Effects on Kinematics… Frontiers in Sports and Active Living, 2. (手幅と挙上重量のエビデンス)
- Schoenfeld, B. J., et al. (2017). Strength and hypertrophy adaptations between low-vs. high-load resistance training… Journal of Strength and Conditioning Research, 31(12). (回数と重量設定のエビデンス)
- Green, C. M., & Comfort, P. (2007). The affect of grip width on bench press performance and risk of injury. Strength & Conditioning Journal, 29(5). (肩の怪我予防とグリップ幅のエビデンス)



